公共哲学 : 政治における道徳を考える / マイケル・サンデル
ちょっと前に読んだ本だけど、興が乗ったので。
記憶違い等ご容赦ください。
「政治における道徳とは、個人の選択の自由に帰結されるべきものではなく、皆で考えるべきものである」
というのがサンデルの主張だったように思う。
例えば妊娠中絶に関する法案(容認にせよ禁止にせよ。サンデルは多分容認派)について、
「中絶するかどうかは母親のプライバシーの問題だから、それを法制化すべきではない」
という議論がある。
しかし、本来プライバシーとは「選択の自由」というより、
「どんな私生活を送るかを他人に暴かれない」というものであった。
さらに、道徳が法制度に反映されないことはありえない。
なぜなら、「道徳は法制度に反映されるべきではない」というのもまた、道徳の一つなのだから…
そして、道徳を考える場とはコミュニティである。
経済活動の膨張によりコミュニティが破壊されている今、我々は戦わねばならない。
(例えば、学校のテレビに流れる消費者向け広告など。)
ものすごくはしょったけど、こんな感じかと。
個人的には、確かに価値観を法制度に反映させることは大事だと思う。
例えば、「民主主義への~」のエントリで述べた資本課税(細かい話は後日)。
これは垂直的公平、つまり
「確かにそれはあなたの財産だけど、ため込み過ぎだから他の人に配るからね」
という考え方に立脚している。
言い換えると、「貧富の差をどの程度許容できるか、できないか?」という価値観を反映している。
ただし、現実的には議論が紛糾しすぎないよう、ある程度の「聖域」はあっていいと思う。
例えば、医療関連産業を集積させたい自治体が、医療倫理絡みのセンシティブな点に触れないことは間違っていないと思う。
言い換えると、目的は「ある程度」手段を正当化する。
という「ご都合主義者」なアルタイルでしたとさ。