方法序説 / デカルト

科学に携わる者、一度は読んでおくべし。…と聞いてからだいぶ経ちました。

今がチャンスだと思って読んでみました。

固定観念はとりあえず全て捨て去って大事なものだけ残そうとか、簡単に言うねえ。

 

「われ思う、故にわれあり」

とは、非常に有名なフレーズ。有名すぎて、一人歩きしているかもしれない。

これは以下のような論法を説明するもの(だと思う)。

 

この世の全てが偽りだと考えてみる。

しかし、そう考えてみたところで、「今私が「全てが偽りだ」と思っていること」は否定しようがない。

ということは、「私」の中には真なるものが存在する。

 

ちなみに、この後

「不完全な私の中に真なるものが存在する。一方、神は全てが完全なる存在であり、神を分割することはできない。不完全な私の中に最初から真なるものがあったなら、その性質上他のすべての真なるものを取り出せるはずだが、実際にはそうではない。よって真なるものは神の恩寵であり、神は存在する」

みたいなロジックが続きます。

 

それはさておき、この本のより面白いところはデカルトの学問に対する姿勢だと思う。

 

まず、学問を学ぶにあたる、行動指針。即ち、

①明証的に真ではない全てを真とは認めない。つまり、厳密であること。

②問題を必要なだけ細かく分割すること。還元主義、とはちょっと違うのかな?

③単純から複雑へ、順を追って考えること。

④見落としがないと確信できるよう、しっかり対象を見ること。

耳が痛いですね。言うは易く行うは難し。頑張ります。

 

次に、学問追究の前に、見聞を広めた際の行動指針。

①法と信仰とを守り、極端な意見に走らないこと。

②中途半端にブレないこと。例えば、耳を傾けると決めた意見は最後まで聞く。

③どうにもならないことではなく、己に打ち勝つよう努めること。

④①-③を基に、最良だと思える仕事を選ぶこと。

例えば、世界の秩序を変えよう!というのが悪いことだとは思わないけど、こと見聞を広めようとするなら、どれも大事かと思います。

就活の時とか、役に立つかも?

 

偉大な哲学者の考えていたことが、(気のせいかもしれないが)少しだけ分かったような気にさせられる一冊でした。