安田講堂 1968‐1969 / 島 泰三 を読んで:「イデオロギーと熱気」
久しぶりにログインしようとしたらアカウント名を忘れてさまよう問題。
だいぶ前に読んで、記事を書こう!と思って忘れてたやつをパパッと書いちゃいます。
筆者は学生運動の(多分)中心的人物の一人。
本書では、当事者の目線からの安田講堂立てこもり(他、当時の学生運動)について、当事者の目線から書いている。
思ったことについて簡単に。
①イデオロギーについて
これはやっぱり多少歪んでいるところはあるのかなと思う。
特に、人物描写にはかなり影響を与えていて、警察はもちろん同じ学生でも立場が違う人間の行動についてはかなり悪く書かれている。
「こっちはちょっとしか抵抗してないのに、向こうはかなりアグレッシブに襲いかかってきたんだ!」みたいなね。
ただし、
・当事者目線であること(普通、例えば暴力であればふるった方より振るわれた方がよく覚えているだろう)
・かなり年月が経ってから書かれた本であること(2005年だから、40年近くたっている)
という留保は必要だろう。
本の中身だけ見て、「学生運動家ってやっぱりクソだわ」というのはやめたほうがいいと思う。
もちろん、法秩序の観点からけしからんことだというのは別に否定しないけども。
②熱気について
元々学生運動には興味があった。
別に政治的信条がどうのじゃなくて、
「当時の空気はどれほど熱気に満ちていたのだろう?」「彼らをそこまで駆り立てたものはいったいなんだったのだろう?」といった純粋な興味。
後者については限定的な情報しかないから分析は難しいところだが、熱気については十分伝わってきた。
大学指導部への敵愾心、大きなものに抵抗してやろうという気概、暴力と迫りくる崩壊への恐怖…
それだけでもこの本を読んだ価値があったと思う。
ベクトルは違うけれど、無為に日々を過ごすようにはなりたくないと思います。